5-3-1住宅探しが困難な人に向けた賃貸住宅の登録制度を活用しよう
住宅探しが困難な人に向けた賃貸住宅の登録制度を活用しよう
入居率が下がるのは競合が激しいからです。それなら、これまで門戸を閉ざしていた住まいの確保が困難な人に目を向けてみては?
高齢者や低額所得者、子育て世帯など“住宅確保要配慮者”向けの賃貸住宅制度を解説します。
賃貸住宅の空室率が高まっている一方で、「入居できる賃貸住宅を探すのが難しい」という人々も少なくありません。
このギャップを埋めるために、現在、推奨されているのが「セーフティネット住宅」です。
セーフティネット住宅のベースになる法律が「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」、
通称「住宅セーフティネット法」です。最初の法律は2007年に制定されましたが、10年後の2017年4月に大幅に改正され、
家主への助成制度や住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の登録制度が創設されました。
「住宅確保要配慮者」の定義は図1の通りです。補助制度の実施主体である自治体によって対象が異なる点に注意してください。
「住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅」として都道府県・政令市・中核市に登録すると、
入居者の負担を軽減するための補助制度を受けることができます(図2参照)。1ヶ月当り最大4万円の家賃補助を受けられるため、入居しやすくなるでしょう。
また、バリアフリー化などの改修補助制度もあります。
登録できる住宅には「居室の床面積が25㎡以上(シェアハウスの場合、専用居室が9㎡以上)」などの基準があります。
自治体によっては築年によって「15㎡以上/20㎡以上」のように面積基準が緩和されるなど、自治体によって異なる場合がありますので個別に確認してください。
また、登録した賃貸住宅と要配慮者をマッチングする支援策も設けられています。不動産関係団体、NPO法人や社会福祉法人、
自治体が連携した「居住支援協議会」を通じて、要配慮者に情報を提供する仕組みです。国交省のサイト「セーフティネット住宅情報提供システム」で検索することもできます。
なお、まだスタートして間もない制度のため、自治体サイドの体制が整っていないケースも目立ちます。
2018年8月9日時点で、家賃補助を実施しているのは山形県、福島県、横浜市の3自治体に止まっていました。
セーフティネット住宅の供給目標について、東京都では3万戸、大阪府では2万戸と掲げています(※)。
今後、徐々に補助制度を採用する自治体や登録件数が増えて来るのではないでしょうか。
※出典:『新住宅セーフティネット制度の最近の状況(居住支援法人数、住宅登録数、居住支援など)について』
今後、入居者ターゲットを広げようと考えているなら、幅広いチャネルの一つとして「セーフティネット住宅」も検討してみてはいかがでしょうか。