6-1-4会社の選び方、契約書…管理会社の切り替えをするときに注意したいポイント
会社の選び方、契約書…管理会社切り替えをするときに注意したいポイント
今の管理会社の仕事内容に満足ができず、新しい管理会社へ替えたいとなった時、どんな手順で何をすればいいのでしょうか? 管理会社を替える時の段取りと、見積もりを取る前に整理しておくこと、用意しておく書類、見積もりの際の注意点などをまとめました。
1.業務委託の範囲を明確にして管理会社と対等に付き合う
オーナーは経営者としての自覚を持ち、必要な業務はきちんと対価を払って依頼するというのが基本です。
そのためには、管理会社の業務や責任の範囲、それぞれの報酬を明確にしておかなければなりません。
管理の主要業務は、契約管理・清掃・設備管理の3つにわけられます(§2-13図キャプション参照)が、清掃一つとっても、§2-13のように内容は多岐にわたります。
清掃業務の報酬がいくらで、どの作業が含まれるか、コンセンサスを得ておきましょう。
管理業務の種類は、各業務をどのような視点で括るかによって変わってきます。
ここでは、国土交通省『賃貸住宅標準管理委託契約書』の管理報酬の視点から分類した種類を示しています。上図は、同契約書に掲載された各種業務の詳細の取極め方。ホームページからダウンロードできます。
管理替えの際の解約条件は要確認、物件の近場に管理会社があることは必須
管理会社を替えるための段取りですが、まず最初の段階では、替え先の候補となる会社を複数(3~4社程度)選びます。そして各会社へ連絡し、委託したい内容やスケジュール、予算について打ち合わせを行います。
何度かの打ち合わせの後に見積もりを取り、料金と業務内容で全ての会社を比較検討。納得できる内容が定まれば一社に絞り、入念にチェックしてから管理受託契約書にサインします。
段取りとしてはこのような流れですが、候補となる管理会社に初回相談に行く前に、オーナーがやっておくべきことがあります。
管理を委託する物件の状態と、委託したい管理の内容、そして委託までのスケジュールを明確にしておくことです。
物件の状態とは、ハード面の状態やどの程度空室があるのか、入居者属性などです。建築当初はどんな建物で、これまでどう改修したことがあるのかを委託先に説明できるよう、建築時と改修時の図面や資料は必ず用意しましょう。
入居者は若年者か高齢者か、単身者が多いのかファミリー層なのか、などの入居者属性がわかる資料も作成しておくべきです。自主管理からの切り替えの場合は、入居者との賃貸契約書も事前にまとめておきましょう。
委託したい管理の内容とは、自分がしてもらいたい管理とはどういうものか、何をどこまで委託したいのかという自分の希望です。また、委託までのスケジュールは、余裕を持って立てることが大切です。
新築の場合は、遅くとも竣工の約2カ月前までに管理会社を決めないと、入居者募集の開始が遅れる可能性があります。
では、実際に数社から見積もりを取り、比較検討する際の注意点は何でしょうか?
主に3つが挙げられます。
一つ目は、管理内容を比較する際は条件設定を統一し、共通項目を比較することです。
基本的な業務は、どこの管理会社も同じです。その上、契約書の管理業務の内訳には単価表示がないので、それだけ見ていても良いのか悪いのか、高いのか安いのかわかりません。
例えば清掃の場合はどこをどんな頻度で行うかなど、項目・密度・頻度の詳細な確認をして、各社の条件を統一してから検討します。
管理業務の内訳の例
二つ目は、管理受託契約書に記載された解約条件などをしっかりと確認することです。
契約解除の際に高額な違約金を設定している会社や、オーナー側からは解約ができないサブリース契約を提案している会社もあります。解約条件を見落とさないよう、入念にチェックしましょう。
三つ目は、大手管理会社と地元の中小管理会社の両方を比較検討することです。
知名度があり財務体質が良い大手か、きめ細やかなサービスが期待できる地元の会社か? 悩ましいところですが、どちらを選ぶかは自分が何を優先したいかによります。
また、入居者の募集方法や担当者との相性も、重要な判断基準です。ただ、どの会社を選ぶにしても、物件の近場に拠点があることが必須です。
また、管理業務一式をパッケージで委託する以外に、個別業務ごとにアウトソーシングするという方法もあります。
自主管理オーナーの方は、こうしたサービスを取り入れてもいいでしょう。
アウトソーシング(分離発注)の例
どんな立場のオーナーであろうと、大前提となるのはどういう管理をしたいのか、何を優先したいのか、という自分の希望を明確にすることです。
そして、それに合う選択肢を幅広い視野で検討していけば、管理替えによる失敗は減らすことができるでしょう。